美食家たちに愛されて止まない高級食材キャビア。実は乱獲が原因で、天然もののキャビアは1990年代に数が激減してしまいました。そこで現在は世界各地で養殖の取り組みが行われています。日本も例外ではなくキャビアの養殖は盛んで、高値で取引きされていることをご存知でしょうか。今回は、日本におけるキャビア養殖の歴史についてご紹介します。
1.世界が注目する日本の養殖業
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日本の養殖業は、世界でも非常に高度な技術を保有しています。世界的な養殖の歴史をたどると、紀元前11世紀の古代中国の時代には既に養殖が行われていたことを示す文献が残っています。日本の文献に養殖について初めて記述されているのは、江戸時代初期の1615年~1624年の間の文献。その文献の中では、淡水魚であるコイの養殖について書かれています。その後海面養殖の研究が盛んになり1893年、三重県にて半円真珠の養殖に成功しました。さらに海水魚の養殖の歴史はマダイが最も古く、明治40年代初頭より研究が始まったと言われています。また、2014年に絶滅危惧種に指定されたクロマグロは、世界的に養殖は困難と言われていたにもかかわらず、2002年に近畿大学水産研究所にて世界で初めて成功しました。日本の漁業・養殖業の総生産量に占める養殖業の割合は2014年度には20%以上となっており、いかに日本の食卓に養殖業の技術が欠かせない存在なのかを示しています。
2.キャビアの養殖業の歴史
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そもそもキャビアとは、チョウザメの卵のこと。私たちが俗にいう世界三大珍味のキャビアは、カスピ海に生息するチョウザメのことを指していました。しかしチョウザメの生息地域のダム建設や需要の増加による乱獲等が影響し、チョウザメの個体数は1990年代に入ると4分の1にまで激減してしまいます。そこで、絶滅の危機に瀕するチョウザメを救うためにも、世界的な美食家たちの口を潤すためにも、1980年代初頭よりチョウザメ・キャビアの養殖が始まりました。ロシアやアメリカ、フランス、イタリアでは特に力が注がれています。しかし、キャビア養殖は莫大な初期費用がかかり、さらにチョウザメの飼育よりキャビアが採れるのは7年以上の歳月を要します。そのため、未だ養殖といっても高価な食材であることは違いありません。
3.これからの日本のキャビア
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日本におけるキャビア養殖の歴史はまだ浅いものの、全国各地で養殖が行われています。現在日本国内での養殖キャビア生産トップは宮崎県。宮崎県では官民一体となって1983年より養殖研究が行われてきました。大阪府の企業では1998年に世界初となる、水槽での完全養殖に成功しています。また、2002年に日本初となる完全養殖されたキャビアが出荷されました。2003年には岩手県の企業によって養殖されたキャビアが商品化されていますが、残念ながら東日本大震災の被害に遭い、事業は中止となってしまいました。現在全国的には、宮崎県の他に愛媛県や高知県・岐阜県などで養殖が盛んで、2015年3月には愛媛で初出荷となるキャビアがメディアにも取り上げられ話題となりました。愛媛の建設業者の中央道路は2008年から水質・水温の安定した湧き水を使ったチョウザメ養殖を開始し、西洋料理などに使われる身肉販売は2012年ころから開始しその味は好評で、待望のキャビア出荷となったのです。
しかし、キャビアの養殖は莫大な費用がかかるため、国内の養殖キャビア自体も高級品ではあります。今後さらに養殖技術が向上し飼育効率が上がれば、手に入れやすくなることでしょう。
4.まとめ
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世界におけるキャビア養殖の歴史から、日本の養殖業の歴史まで幅広くご紹介しましたがいかがでしたか?島国で周りを海に囲まれているからこそ、日々海の恵みを口にいれている私たち日本人。これからさらに日本産キャビアを味わうことも増えていくことでしょう。キャビアの美味しさとともに、その裏にある研究の歴史も思い浮かべながらいただいてみてはいかがでしょうか。